R-STOREの
間違いだらけの住宅えらび

vol.10 愛ある賃貸住宅

空き家だらけの日本

最近、社会問題化している「空き家」。このデータを見てください。(※1)
このデータ、読み込むと恐ろしいことが書いてあります。2003年時点と同じペースで新築住宅(賃貸、分譲含む)を建設し続け、その一方で2003年時点と同じペースで古い家を壊していく(滅失と言います)。すると日本は2040年には全住宅戸数に対する空家の割合が40%に達するというデータです。空家率40%。両隣の家は必ず空家。そういう状況です。ゴーストタウンですね。想像できるのは、治安の悪化、社会インフラの荒廃・・・・

旧東独が西独と統合され、東独圏の人が職や豊かな生活を求めて西側へ大挙して移動した。その際に東側の都市の一部は30%超の空家率になったそうです。そうすると、下水や上水といったインフラがもたない。そもそも、30%も使われないことを想定していないんだそうです。なので、使われないことでインフラが荒廃していってしまいます。悪循環です。日本の住宅もまさに、そのシナリオを追随しようとしているわけですね。

ちなみに、空家の半分は賃貸住宅です(※2)。ここから見えるのは、次から次へと新築住宅へと住み替える、使い捨ての賃貸住宅の姿です。

賃貸住宅は自分のものじゃない

当たり前ですが賃貸住宅は自分のものじゃありません。だから、ちょっとくらいダサい壁紙でも、フローリングが気に入らなくても、我慢。逆にちょっと壁に穴を開けたり、汚れてしまっても、「まあ、人のものだし最後にどうせ精算するし。」という具合ですよね。でも、住んでいるのは誰?毎日生活しているのは誰?ほかならぬ自分なのです。自分に問いかけてみてください。「よくそんな部屋で生活できるな、おまえ」、と。

逆に大家さんの立場になれば、そんな気持ちで賃借人は生活しているわけです。良心のある大家さんなら「自分の家を大事に使ってほしい」そう思うのが本音じゃないでしょうか?でも、気に入らない壁紙、ダサいフローリング、最後にはお金を払って原状回復しなければならない部屋を誰が大事に使うでしょうか?誰が長く住んでくれるでしょうか?

自分にも経験がありますが、簡単に手に入れたものって、結局大事に使わないんですよね。また簡単に手に入ると思うと大切にしない。でも自分が一生懸命働いて稼いだお金でやっと買ったものって大事に使います。大切に磨いて、いつまでも丁寧に使う。少し自分なりにカスタマイズしたりするかもしれません。そうするとますます愛着が湧いてきます。

これ、住宅でも一緒なんです。使い捨てからの脱却のポイントは「愛着」にありです。

住宅に愛着を

住宅に「愛着」を。これが今後のテーマになってくるでしょう。自分の住む家に愛着がある。それゆえに長く住む。古くなっても大切に住む。大家さんにとってもうれしいことです。大事に長く住んでくれる賃借人。大家さんにとってこれ以上のお客さんはいないでしょう。結果として使い捨てから脱却し、需給のバランスが整い、空家率も減少する。これが理想的なシナリオです。

新しい試み

ここで、あらたな賃貸住宅の試みを2例紹介しましょう。

・選べる壁紙
もうすでに業界では有名な大家さんの賃貸住宅です。この賃貸住宅は、一面の壁紙を自分で選ぶことができるんですね。しかも、その壁紙がシックなものから、柄物の派手なものまで、バリエーション豊か。「選べっていわれても、何がかっこよいのかわからないよ・・・」大丈夫です。選べる壁紙は60種類。最初からどれを選んでもサマになるようにセレクト済み。しかもモデルルームもありますので、雰囲気をつかむこともできます。居住者の方は一様に「愛着が湧いた」とコメントされています。もともとは空室も多かったらしいのですが、今では人気の住宅だそうです。http://www.lifull.blog/entry/2016/07/13/100747

・賃貸なのに改装自由
R-STOREで募集をさせていただいた二子新地駅の築30年以上の木造アパートの1階。70平米。地元の不動産屋には「自宅の建て替えの際の、一時利用でしか貸せない」といわれたそうです。しかし、実際に現地に出向いてみると、雰囲気のある和室、縁側、そしてきれいなお庭。大家さんと相談して「改装自由、原状回復なし」で賃貸してみることにしました。すると、記録的な内覧数!ものの1週間で借り手がきまりました。大家さんと借主さんが、一緒になって奮闘した改装後の住宅はこちら。本当に素敵な家になりました。(賃借人様のHP http://www.510gumi.com/works/KMRF.html こちらで紹介されている「二子新地の家」です。)
実はこの住宅のポイントは、改装自由というところではなく、大家さんの努力だと思っています。当初の改装費のうちの大半の部分は大家さん負担なんです。そうまでしても、気に入ったものなら長く大事に住んでもらえるのではないか、長く住んでほしい。その思いが伝わったのか、賃借人のお二人は、忙しい仕事のの合間を縫って、嬉々として改装に取り組んでいらっしゃいました(改装のブログ。 http://mine510.exblog.jp/i3/ )

愛着を持とう

上記のような例はまだ多くはありません。しかし、今までの「原状回復」→「適当に住む」→「原状回復」→「適当に住む」・・・・という愚かな無限ループが変わりつつあることは確かです。

NYに住んでいた友人に聞いた話ですが、向こうの賃貸住宅は転貸(又貸し)、改造、原状回復なし・・・などなど、当たり前のようですね。賃借人の裁量が非常に大きいのです。一方で、建築規制が非常に厳しく、新築は建ちづらい。だから賃貸住宅を個性的に住むことが必然的に選択肢の一つになってくる。

少しづつではありますが、そういった世界に近づいているように思います。これは巨視的に言えば「モノを大事に使う世界=エコ」につながっていきます。つまり、現代における唯一のイデオロギーともいえる「エコ」の本当の意味での変革が住宅界にも訪れつつあるということです。

モノと同じで住宅も自分で手を入れて住み続けるからこそ、愛着を持てる。愛着があるから大事に使う。今後の自分、日本、世界にとって、間違えないための住宅選びのキーワードはズバリ「愛着」です。R-STOREはこれからも「愛着」の持てる賃貸住宅をどんどん紹介します。それが、世界の未来を明るいものにすると信じているからです。

さいごに

実はこのコラムは2011年から2012年にかけて書いたものです。当時は新しいと思われた壁紙を選べる賃貸住宅や、改装可能ない賃貸住宅も今では珍しくなくなりました。少しづつ私たちが思い描いた賃貸住宅市場が現実のものとなってきています。その結果、家を買わずに賃貸住宅で一生を過ごすという選択をされる方も多くなってきました。一方でそれが当たり前になってくると、新しい挑戦もしてみたくなるものです。今までにないような賃貸住宅のあり方、住み方。私達は今後も考え続け、独創的な賃貸住宅サービスを生み出していきたいと思っています。ここまで読んでいただき、有難うございました。